こんにちは。継続的に売れる仕組み再構築の専門家、諏訪昭浩です。

僕の同級生で慶応大学教授の前野隆司君は「幸福学」なるものを提唱していますが、「キーワードはワクワクですよ」と常々主張している僕の考えと共通項があります。その彼が今日出版した「幸せな職場の経営学」を早速アマゾンで購入したのですが、帯にある「場所 時間 休日 全て社員が自分で決める」という文言は、先日行ったある会合での講演を思い出させました。

本当の働き方改革は働く側主導なのです。

働き方の決定は社員がするもの

左が前野君の著書。右が僕が講演で使ったスライドです。

働き方改革の背景にあるのは、様々な問題に対して有効な解決策が見いだせないという閉塞感です。

貧困や格差、財政赤字、少子高齢化、など、かつてない様々な問題に対して、これが正解という明確な解決策は見いだせない一つの理由は、これらの問題が現状に手を加えて「改善」することで解決できるような単純な問題ではなく、物事のあり方そのものを根本から見直さないと解決できない、全く新しいタイプの問題だからです。

これまでの日本経済を支えてきた日本の強さの一つは改善であったわけですが、それが必ずしも有効ではなくなった今、求められるのは、発想の転換であり、常識を非常識にする勇気です。

「働き方改革」は、過労死など、長時間労働による弊害、労働力不足、労働生産性の低さなどの諸問題を解決しようとする動きです。ご存じの通り、もともとは労働者が働きやすい環境を整備することで、低迷する日本経済を立て直したいという政府の目論見として始まったわけですが、時間外労働の上限規制、有給休暇の消化義務、同一労働同一賃金の推進などによって、一人一人の能力や事情によって多様な働き方が選択できる社会を目指しています。

この改革は、日本の働き方を根本から変えてしまう可能性があります。そして、この問題に対して、企業としてどう対応するかが問われているわけです。

多くの企業が検討、実施しているのは、たとえば育児休暇が取りやすい環境の整備、フレックスタイム制度の導入、在宅勤務制度の導入など様々で、どれもそれなりの効果が実現できています。

しかし、制度の多くは目新しいものではないですね。こういう事例を見ていると、どうも、パッチ当て的でその場しのぎの対策、この数十年、多くの企業が取ってきた対策の域を出ていないのではと感じます。

では、働き方改革への取り組みにおいて、どのような「発想の転換」が求められているのでしょうか。

たとえば、「働き方改革」において「長時間労働」は「悪」であると見られ、企業側の論理では、とにかく時短、時短、となる傾向がありますが、ここで必要な発想の転換は、企業側の論理ではなく労働者側の論理で考えること。つまり、長時間働きたい人はそうすればいいし、長時間働きたくない人はそうすればいい、という発想から、諸施策を考える事です。つまり、労働者が判断の主体となる制度を構築することです。

これができなければ、これまでのような、企業から押しつけられた働き方の中で、「サラリーマンだから仕方ないじゃないか」と自分を納得させて疲弊していく、というような、おそらく企業にとっても長期的には害悪以外の何物でもない状態が続くことになります。

「働き方改革」は企業にとって大きなチャンスととらえるべきです。働き方に関して、企業の論理を押しつけず、労働者の判断を認めると、企業にとって一時的にコスト上昇などネガティブな面が表れると思われますが、それをいかにポジティブな面の実現に繋げていくか、ここで、大きな発想の転換と既存常識の否定によって、独自の制度を構築できた企業は、他社にはない強みを生むことになります。

「生きがい・やりがい」と言う言葉がはやったことがありますが、はたして「生きがい・やりがい」とは何だったのか? 楽してお金をもらうことか? いい仕事をすることか? これらはすべて正解で、答は人それぞれです。そして、あの当時から、社員の多くが「生きがい・やりがい」を持てない状況が続いている原因は何かというと、企業側の論理で考えられた画一的な「生きがい・やりがい」を押しつけたことです。

「生きがい・やりがい」は社員一人一人異なります。その様々な「生きがい・やりがい」を認め、全社員が「生きがい・やりがい」を持って仕事をすることは、「働き方改革」が目指す本質でもあります。

かつての日本では、社員に負担を強いることが企業の競争力になりました。その弊害が一気に噴き出し、制度改革という形でしか解決策が見いだせないのが現在です。これからは社員を幸せにすることが企業競争力を高める時代になると考えています。

問題はどうやって幸せにするか。それは、社員が考えることなんです。

幸せって何だっけ、という明石家さんまが歌うCMがありましたが、幸せの定義は社員が決める。そして、企業のミッション、ビジョン、バリューを受け入れ、決められた枠の中で、自分の人生を設計する力を、社員に返すことで、それは実現できます。社員が自分で選択できる制度を導入することです。

今日のまとめ
広島ブランド工房のキャッチフレーズは「魅力はいつも、枠の外に。」です。既存の枠の外に魅力や解決策があります。働き方改革もそろそろ既存の枠を取り払うときに来ていますね。

 

この記事を書いた人
諏訪昭浩(すわあきひろ)
「継続的に売れる仕組み構築の専門家」
1961年広島生まれ。在米11年のMBAを持つ米国公認会計士として複数企業の経営を歴任した元エリートビジネスマン。自らが実践してきた、選ばれるため、売り上げるための仕組み作りとパーソナルブランディングをベースに独自のノウハウを構築し、セミナーやコンサルティングを行っている。

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