伊藤忠商事社長・会長を歴任され、中国特命大使を務められた、丹羽宇一郎氏の講演を聴きました。
内容は、世界情勢と日中関係についてでしたが、おもしろい話がありました。
「嘘」についてです。要約すればこんな話でした。
「ヒトは嘘をつく生き物だ。しかし、特に企業のトップや政治家が嘘をつくと、とんでもないことになる。そして、嘘は必ずばれる。」
今話題の財務省の改ざん問題などを見ても、本当に嘘というものはばれるもので、大変な結果を招くということがよくわかります。
他にも、テレビニュースで、お偉い方々が「申し訳ございませんでした」と頭を下げ、バーコードのような頭頂を見せているのを頻繁に見ます。
ヒトは嘘をつく生き物ですが自戒してそれを避けることはできます。これはヒトにしかできないヒトの美徳です。
しかしその一方で、生来は嘘をつくものだということを自覚しなければならないのだと僕は思います。それを自覚してこそ自戒も可能になるのです。
さて、僕が行っているヒトブランドコンサルティングでは、色々な手法でクライアントの本質をあぶりだしていきます。「あなたは本当は何者ですか?」ということを答えてもらうわけです。
しかし、ほとんどの方は、自分は何者かということに気付いていません。そして、他人には良く見られたいという、これもヒトの本性のために、どうしても格好付けてしまい、それが本当の自分への理解を妨げます。
そんなときによく言う言葉があります。
「ヒトの中には善と悪が両方ある。キレイな部分もあれば汚い部分、イヤな部分もある。それがヒトの構造。しかし、ヒトは誰でも他人からよく思われたいから、自分の悪の部分、汚い部分は認めたくないし、その意識があるために、そんな部分があることさえ気付きにくくなっている。自分の悪を認めることが本当の自分理解につなるよ。」
自分の善しか認めないということは半分の自分しか認めていないということ。自分の悪を認めてはじめて自分を全て受け入れたことになります。そうなって初めて「清濁併せ飲む」ことができ、言動にも厚みが出てきます。そして、確実に、見える景色が変わってくるんです。
(ヒトブランドマイスター 諏訪昭浩)