セミナー講師や執筆をする僕が、一番大切にしていることは、「言葉」です。
でも、僕にとって言葉とは、「たかが言葉されど言葉」。
なぜ「たかが」なのかというと、言葉は、価値や意味を「伝える道具」に過ぎないからです。
価値があるのは言葉自体ではなく、それが伝える価値や意味。言ってみれば、言葉は高級腕時計のケースみたいなものです。ネットオークションで高価格で取引されるケースもあるようですが、それは置いておきましょう。
「たかが言葉」なので、同じ価値や意味を伝えるのなら、短い方が断然キレイです。そんなわけで、僕はいかに短く言うか、書くか、ということを大事にしています。
では、なぜ「されど言葉」なのかというと、それは言葉に特有の「力」があるからです。
「ことだま」などと呼ばれることもあります。言葉にすると現実になる。それは、言葉にそういう力があるからです。
僕の知り合いで、子ども専門書道講師 八津田紀代子さんという方がいらっしゃいます。言葉の力がわかる方です。
僕のセミナーを何度か聞いていただいたことがあるのですが、そのセミナーの中で、どの言葉が心に響いたか、どの言葉がキーワードか、というフィードバックをいただいたことがあります。
僕はそれ以来、しゃべりや執筆の中で、その意識をとても大切にするようになりました。心に響く言葉、それは多くの場合、本当に短い一言なのですが、それがなければ僕の言葉は聴く人読む人の心には入っていきません。その結果、価値はゼロになってしまうのです。
言葉の力を使えるヒトはこれがわかっているヒトです。だから、そのヒトの言葉が胸まで突き刺さってくるのです。
逆に、これがわかっていないヒトは、何をどうしゃべっても、受けを狙っても、その言葉は絶対に人の心を打ちません。
心を打たれる話を聞いたとき、その話の中から、たったひとことの言葉が、ぼーっと浮かんできます。そんな素晴らしい話を聞いたり読んだりすると、言葉の力の大切さと強さを、毎回のように感じます。
(ヒトブランドマイスター 諏訪昭浩)